Top 100 Albums of 2017

2017年は新譜を691枚買いました(投げ銭盤やフリーDL盤含む)。
たまに訊かれます。
「そんなにアルバム買って年内にぜんぶ聴けるんですか?」


聴けるわけねえじゃん。


そう、聴けるわけないんですよ。常識で考えてほしい。

年越し時点で積み新譜が数十枚。
そしてそういう後回し状態にしてるのは、
わけわからん国でわけわからんことやってる誰も知らない一人宅録ミュージシャンの
クオリティ激低(と聴く前から想像できるレベル)なアルバムがほとんど。
聴く気がまったく起きない。

しかも2018年も良い新譜がどんどん発売される。
当然そっち聴きますわな。


そんなこんなで5月の中旬になりました。お察しください。
むしろがんばってぜんぶ聴いたおれを褒めてほしい。もっと褒めてくれ。


ということで2017年の良かった新譜を100枚絞りました。
いちいちコメント書く体力気力は残ってなかったので割愛です。
気になるものがあればツイッタで直接お声がけくださいませ。



1. Steven Wilson - To the Bone
2. Lionville - A World of Fools
3. The Night Flight Orchestra - Amber Galactic
4. Kaitlyn Aurelia Smith - The Kid
5. Body Count - Bloodlust
6. Magenta - We Are Legend
7. Isildurs Bane & Steve Hogarth - Colours Not Found in Nature
8. Roger Waters - Is This the Life We Really Want?
9. Leprous - Malina
10. Living Colour - Shade

11. White Moth Black Butterfly - Atone
12. Dead Cross - Dead Cross
13. Richard Barbieri - Planets + Persona
14. White Willow - Future Hopes
15. Jesper Binzer - Dying Is Easy
16. Anathema - The Optimist
17. Special Providence - Will
18. Lock Up - Demonization
19. Europe - Walk the Earth
20. CyHra - Letters to Myself

21. The Corrs - Jupiter Calling
22. Tori Amos - Native Invader
23. Mogwai - Every Country’s Sun
24. Bubblemath - Edit Peptide
25. Cradle of Filth - Cryptoriana - The Seductiveness of Decay
26. Diablo Swing Orchestra - Pacifisticuffs
27. Cannibal Corpse - Red Before Black
28. Bullet Height - No Atonement
29. Periherion Ship - To Paint a Bird of Fire
30. Morbid Angel - Kingdom Disdained

31. Da Vinci - Ambition Rocks
32. Avatarium - Hurricanes and Halos
33. Styx - The Mission
34. Richard Pinhas - Reverse
35. Evil Invaders - Feed Me Violence
36. Big Big Train - Grimspound
37. Alice Cooper - Paranormal
38. Lunatic Soul - Fractured
39. Mostly Autumn - Sight of Day
40. Strawberry Girls - Italian Ghosts

41. Blackfield - Blackfield V
42. Amarok - Hunt
43. Caligula's Horse - In Contact
44. Tangerine Dream - Quantum Gate
45. Kamasi Washington - Harmony of Difference
46. Brian May + Kerry Ellis - Golden Days
47. Pink Cream 69 - Headstrong
48. Melanie Mau & Martin Schnella - The Oblivion Tales
49. Roadcase Royale - First Things First
50. KFMDM - Hell Yeah

51. Degreed - Degreed
52. Faust - Fresh Air
53. Shadowqueen - Living Madness
54. Subterranean Masquerade - Vagabond
55. Chon - Homey
56. The Body & Full of Hell - Ascending a Mountain of Heavy Light
57. Robert Plant - Carry Fire
58. Stan Bush - Change the World
59. Jessie Brown - Keeping Appearances
60. Kaipa - Children of the Sounds

61. Yesternight - The False Awakening
62. Ulver - The Assassination of Julius Caesar
63. Quantum Fantay - Tessellation of Euclidean Space
64. Harem Scarem - United
65. Daniel Cavanagh - Monochrome
66. Godspeed You! Black Emperor - Luciferian Towers
67. Scale the Summit - IN a World of Fear
68. I Am the Manic Whale - Gathering the Waters
69. Karibow - From Here to the Impossible
70. Tim Bowness - Lost in the Ghost Light

71. Siberian Meat Grinder - Metal Bear Stomp
72. Ed Sheeran - ÷
73. Cheap Trick - We’re All Alright!
74. Enslaved - E
75. The Quill - Born from Fire
76. Believe - Seven Widows
77. L.A. Guns - The Missing Peace
78. Chelsea Wolfe - Hiss Spun
79. Icefish - Human Hardware
80. F.K.Ü. - 1981

81. Disperse - Foreword
82. Paradise Lost - Medusa
83. Intervals - The Way Forward
84. Sparks - Hippopotamus
85. Wobbler - From Silence to Somewhere
86. Amplifier - Trippin’ with Dr. Faustus
87. The Great Discord - The Rabbit Hole
88. Powerman 5000 - New Wave
89. The Rasmus - Dark Matters
90. Ne Obliviscaris - Urn

91. Pain of Salvation - In the Passing Light of Day
92. Stick Men - Kollekted
93. Dante Fox - Six String Revolver
94. Autopsy - Puncturing the Grotesque
95. Enter Shikari - The Spark
96. Lindsey Buckingham & Christine McVie - Lindsey Buckingham & Christine McVie
97. Electric Wizard - Wizard Bloody Wizard
98. Schiermann - Schiermann
99. Rattlemouth - Mostly a Safe Place
100. Spires of the Lunar Sphere - Siren


以上!
やっと年を越せる!
おれたちの2018年は、まだ始まったばかりだ!



Flower 『たいようの哀悼歌』レビュー

ということでFlower新曲です。


前回のシングル『Moon Jellyfish』は13枚買って13枚レビューしたわけですが、
今回は5枚購入しました。

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決して(毎回13枚レビューはいくらなんでもきつすぎる)とか思ったわけではない。
決して。


"たいようの哀悼歌"、"Stranger"、"熱帯魚の涙 (Asiatic version)"の3曲と、MV+ツアーファイナルライヴ映像が収録されたDVDが付いている初回生産限定盤はゲット必須として、
"たいようの哀悼歌"のAnother versionとそれのTV edit ver.が収録されている期間生産限定盤もファンとしてマストバイ。

んじゃ残りの3枚(いずれも通常盤)はなぜ買ったかというと、
まあいろいろとコレがアレで…。
ほら、特典とかね…。



という前置きはさておき、今回の新曲もべらぼうに素晴らしいので
これはもう感想を書かざるを得ない。この良さを誰かと共有したい。
Flowerはガチ。

前回のように1枚1枚レビューという無茶なマネはしませんが、
各曲の感想をつらつら書いていこうと思います。


【たいようの哀悼歌】

先行公開された時点で名曲っぷりがすでに保証されていたし、
7/15・7/16のE-girlsライヴ at さいたまスーパーアリーナ2Daysで披露されたこの曲のパフォーマンスを生で観てこれはすげえ曲だと完全に確信したわけですが、
こうやって改めてスタジオ音源をフルで聴くと本当に震える。

前作の"Moon Jellyfish"、"とても深いグリーン"に関しても書きまくった通り、
今回もとにかく鷲尾さんのヴォーカルが素晴らしい。素晴らしすぎ。

THE・慟哭」という表現が似つかわしい冒頭のフェイク歌唱でいきなり持ってかれる。

2016年以降の鷲尾伶菜というヴォーカリストは完全に覚醒状態で、
ベスト盤『THIS IS Flower THIS IS BEST』に収録されている過去曲のversion 2016(鷲尾さんが一人で全部歌い直したバージョン)や、それに続く"モノクロ" "カラフル" "Moon Jellyfish" "とても深いグリーン"を聴けばその凄まじさは実感できる…ということを前回も書きましたが、
今回も継続して確変突入中。
まさに鷲尾無双。


本人が「あえて無感情に歌った」というところのAメロ、Bメロでの虚無感から、
サビ、そしてDメロで爆発するエモーションの流れが圧巻。
まさに情念の歌唱と呼ぶにふさわしいパフォーマンスだ。

こういうパワーバラードに関してはおれも多ジャンルに渡っていろいろ聴いてきたけれど、負の感情をここまで声に込めて表現できる人はちょっと他に思いつかないし、鷲尾さんの右に出る人はそうそういないんじゃないかと思う。


各所インタビューでメンバー本人たちが語っているように
今回の曲のテーマは今までのような恋愛系ではなく「普遍的な絶望」なわけですが、
その世界観が見事に表現されたMVも絶品。

観る者に「絶望」「死」のイメージを否応なく想起させるほどの鬼気迫る演技・ダンスに目を奪われる。

ダンスという「身体性」を付与する対象となるエモーションが「情念・叙情・悲哀」である、という点がE.G.familyの中においてもLDH全体の中においてもFlowerが特異かつ孤高である理由だと思うのだけれど、そのFlowerならではの色をさらに深く追究・追求していこうとの意志がこの曲に込められているように感じた。


…余談だが、そのあたりの「Flowerならではの孤高性」に最も意識的なのが萩花さんだと思う。
『Moon Jellyfish』からE.G.family新体制を経た後の言動やファッション、挙動を見ているとそのへんを意図して実践しているように感じる。

萩花さん本人曰く「無機質な」ShuuKaRen(B-PASS 10月号インタビューより)ではおそらくまた異なるカラーを出してくると思うし、そっちも楽しみ。


【Stranger】

カップリング曲。これまたズルい。良すぎてズルい。

前作カップリングの"とても深いグリーン"やE-girlsの"Smile for Me"などなど、
E.G.familyはカップリングの名曲度が異様に高いのがすごいと思うんだけど、今回もそれに違わず名曲。

"ラッキー7"や"モノクロ"方面のハード路線でありつつも、
その2曲とは異なるテイストのクールネスが溢れた完全なる新境地。
LDH内グループのサウンドでいえば三代目JSBの音楽性が一番近いかもしれない。

だがそれでいてFlowerらしさもまったく失われていない。
鷲尾さんならではのダイナミクスなヴォーカルパフォーマンスが印象的だ。

先日公開されたHappinessの新曲"GOLD"もそうなんだけど、19人体制E-girls後期のクール路線("DANCE WITH ME NOW!"、"Pink Champagne"、"Go! Go! Let's Go!"あたり)をE.G.family各ユニットが再解釈した上で継続しているという、この地続き感が素晴らしい。

相当綿密に方向性戦略を立てた上で最高の曲を提供してくれるところがおれは好きです。

しかしまあカラオケで歌いこなせる人いるのかこれ。
ブレス多めのパートやシャウトパートが次々に現れるこの難曲、めちゃくちゃヴォーカルテクニックが要求されるし鷲尾さん以外に歌える人いないと思う。マジで。


【熱帯魚の涙 (Asiatic version)】

25弦琴と二胡の音色が印象的なこの曲、Vo自体はおそらく録り直してはいないと思うが、version2016と比べるとパーカッションが引っ込み、代わりに和太鼓とベース音が前に出るミキシングとなっている。

またヴォーカル周りのコーラスワークが幾分削ぎ落とされたことでシンプルなアレンジとなった。

『Moon Jellyfish』収録の"カラフル ("a touch of jazz" mix)"と同様、鷲尾さんのヴォーカルラインが堪能できる良質のリミックス。


【たいようの哀悼歌 -Another Version-】

表題曲の別ミックス。
アニメ「将国のアルタイル」エンディングテーマに起用されていることもあり、原曲と比較するとストリングスやホイッスル、ベルのサウンドが前面に配置され、よりオリエンタルな雰囲気を醸し出すアレンジとなっている。


【たいようの哀悼歌 -Another version- (TV edit)】

そのアニメエンディング用短縮ver。
前奏が省かれいきなり鷲尾さんの慟哭フェイクVoからスタートするのでインパクトがすごい。


【Flower Theater 2016 〜THIS IS Flower〜 THE FINAL】

昨年からのツアーのファイナル公演、今年の1月16日の模様がフルで収録されている。
おれもまさにこの日のパフォーマンスをライヴビューイングで観ていたのでそれが追体験できるのは個人的にも嬉しい。

"Blue Sky Blue"あたりで情念スイッチが完全にONになり最後まで素晴らしい歌唱を聴かせる鷲尾さんは本当に素晴らしい。何度も同じこと書いてるが実際そうなんだからしょうがない。

特に、元々は3人もしくは2人で歌われることを前提とした過去曲をすべて一人で歌いこなしているのはすごすぎる。ライヴビューイングで観てても驚愕した。
"太陽と向日葵"とか、普通に考えて一人で歌えるような曲じゃないでしょ…。

8割方パワーバラード曲で占められるにもかかわらずそれでもまったく飽きないのは、曲の圧倒的なクオリティの高さと鷲尾さんの歌メロフックの良さとダンス表現のカッコよさと映像演出の凝りっぷりにあるということがよくわかる、最高の映像特典だ。



ということで映像含め、E.G.family新体制スタート後の第一弾として
いろいろな意味で重要かつ素晴らしいシングル曲でございます。
今後もどういう深化と新機軸を見せてくれるのか、とっても楽しみ。

HappinessやDEPやAmiさんの展開も楽しみだし、E-girlsも11人体制になり鷲尾さんのVoがよりフィーチャーされる構成になったことで、これまでとは異なる哀メロ感が付与されていて魅力が増したと感じる。
特に("Love♡Queen"も良かったけど)"Smile for Me"があまりにも名曲だった。哀愁メロディアスハードポップの傑作だ。これからの音楽性に超期待。



前回も書きましたけど、普段プログレッシヴロックやヘヴィメタルやノイズやアンビエントという狂った音楽ばかり聴いているおれが耳を奪われ心揺さぶられるほどの曲を毎回提供してくれるFlowerやHappinessやE-girlsやLDH他ユニットに対しては(マジで知ってよかった)という気持ちだし、

洋楽ロックを聴き始め音楽にハマりだした小中学生の頃のあのワクワク感に通じるものをこの歳で再び体験させてもらっているのは本当にありがたい。

まだE-girlsやFlowerを知って一年経ってないおれがここまでハマれるのだから
似たような音楽的嗜好を持つ方なら絶対どこかしら好きになる要素があると思うんですよね。
というかもっといろんな人と「この曲いいよね…!」的なトークをしたいんですよねおれは。

そういう願望もあり、こうしてレビュー的なものを書いてます!押忍!



Flower 『MOON JELLYFISH』レビュー×13

みなさんは同じCDを13枚買ったことがありますか?

おれはある。

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ということで4/26に発売されたFlowerのニューシングル
『MOON JELLYFISH』を13枚買いましたので
それらを1枚1枚レビューしていこうと思います!


ところでなぜ13枚も同じシングルを購入したのか。
まあいろいろ事情があるんだよ。


今回のシングルは

 (a) 初回生産限定盤
 (b) 通常盤
 (c) 期間生産限定盤

の3形態で発売されており、
(a)+(b)+(c)のまとめ買いでゲットできる特典が2種類あり、
(a)・(b)・(c)それぞれ個別に買った場合の特典がまた別にあり、
さらに店舗別購入特典がタワレコやHMVやTSUTAYAや新星堂などそれぞれ別にあって…と
いろいろとあるのです。いろいろと。

まあ正直エグい商法だとは思うけど、
ぜんぶ欲しかったんだからしょうがないだろ!いいんだよ!おれがよければ!

ちなみにアイドルグループではないので握手券とかそういう類の特典ではない。
ポストカードとかフォトブックとかです。

結果、いま手元には(a)が2枚、(b)が2枚、(c)が9枚の計13枚ある。


一応断っておくと、おれはFlower/Happiness/Dream/E-girlsの楽曲のガチファンであり、
今回のシングル(特にカップリング曲)があまりに良い曲だったので今回購入に至った次第です。
別に特典だけにつられたわけではない。いや本当に。

だからって13枚も買う必要はないのではないか。と思う方もいらっしゃるでしょう。

おれもそう思う。

もうこれは勢いでやっちまったとしか言いようがない。
でもいいんだよ!おれがよければ!



さてそれではレビューに移ります。

購入だけならまだしも、内容が同じシングルを13枚レビューすることに何の意味があるのか…?

そんな疑問を抱いたそこの貴方。人生に意味など求めちゃいけない。
男にはやらねばならない瞬間が必ず来るのだ…。


【1枚目(初回生産限定盤)】

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初回生産限定盤に収録されているのは
“MOON JELLYFISH”と”とても深いグリーン”の2曲。
そして”MOON JELLYFISH”のミュージックビデオだ。

まずは表題曲。一聴するとさらっとした明るめの曲調であり、
前シングルの”モノクロ”がそうだったようにFlowerとしての新機軸かなと思わせる。
一方でサビで顕著なように哀愁に満ちたメロディはFlower感満載。

そしてカップリングの”とても深いグリーン”。
勝手ながらこの曲はFlower史上最強の名曲だと断言したい。

2017年3月20日の「週刊EXILE」にて約45秒のサビ音源が先行公開された時点で
(これはヤバい)と確信していたが、その期待をも上回る出来でガッツポーズしかない。
最高の傑作である。

DVDには”MOON JELLYFISH”のMVが収録。
“瞳の奥の銀河”のMVや各シングル/アルバムのジャケも手がけている
鈴木利幸氏の監督によるMVだ。

淡い色彩、そして大量の水を使った幻想的な演出が美しい。
あと萩花さんが男前すぎる。ほれてまうやろ。

ちなみに今回の振り付けはメンバー全員で作り上げたとのことだ。
(月刊EXILE・2017年6月号より中島さん談)
自己プロデュースへのこだわりが垣間見える。


【2枚目(初回生産限定盤)】

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こちらも初回生産限定盤。
収録されているのは上記1枚目と同様。当たり前である。

なお初回生産限定盤にはフォトブックレットが封入されている。
(まとめ買い特典のフォトストーリーブックとは別)
各メンバーの美麗な写真が拝める。最高だ。

まずは表題曲”MOON JELLYFISH”。
若干明るい雰囲気ではあるものの、”Imagination”や”Dreamin’ Together”あたりの過去曲とは
また別種の曲調が新鮮だ。サビのメロディが素晴らしい。

カップリングの”とても深いグリーン”。至高の名曲だ。
穏やかなAメロから展開を見せるBメロ、そしてサビで慟哭のカタルシスが爆発する流れが
あまりにも完璧。
Flowerの曲は基本的に暗いものが大半だが、この曲のメロディの絶望悲哀度合いは
群を抜いていると感じる。

DVDに収録されているのは”MOON JELLYFISH”のMVだ。
アグレッシヴな各メンバーのダンスが印象的。
それにしても鷲尾さんは本当にダンスが上手くなったと感じる。
他のパフォーマーにもまったく引けを取っていない。

ライティングやカメラワークについてもメンバー自身が積極的にアイデアを出しながら
作り上げていったとのこと(月刊EXILE・2017年6月号より重留さん談)。

Cメロあたりからの、逆光の中で
重留さん&晴美さん→萩花さん&鷲尾さん→中島さん&坂東さん の順に映し出される
ダンスのシーンはとても美しい。

ぜひご覧いただきたい。


【3枚目(通常盤)】

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こちらは通常盤だ。
初回生産限定盤とはジャケが別バージョンである。

収録されているのは”MOON JELLYFISH”と”とても深いグリーン”、
そして前シングルに収録されていた”カラフル”の別mixとなる”カラフル a touch of jazz mix”、
”MOON JELLYFISH”のインストゥルメンタルver、という計4曲。

まずは”MOON JELLYFISH”。
暗くないのに切なさを強く感じさせるメロディ、という点では
”瞳の奥の銀河”や”Flower Garden”あたりの過去曲に近いのかもしれない。

続いて”とても深いグリーン”。
ヴォーカリスト鷲尾伶菜の真髄がここにある。
この人の歌唱は本当に素晴らしい。
いや初期から上手い人なんだが、2016年あたりからの歌唱力・表現力の向上が
マジで神がかりすぎている。

元々は(すでに脱退した)過去メンバー含めた3人Voあるいは2人Voが前提となっている曲を
2016年にすべて一人で歌い直しているバージョンがあり、本当に絶品だった。
ステージが一段階も二段階もステップアップした印象が強く、
”とても深いグリーン”もそのさらなる延長線上にあると言っていいだろう。
表現者として現在進行形で成長し続ける様が驚異的。

過去曲の鷲尾さん歌い直しバージョンはベスト盤『THIS IS Flower THIS IS BEST』で聴けるので
強くおすすめしておきたい。

現代最高のヴァーカリストの一人である鷲尾さんの卓越した歌唱が聴ける名曲。


通常盤のみに収録されているのが、続く”カラフル a touch of jazz mix”。
前シングル”モノクロ”の両A面扱いだった曲”カラフル”の別mixバージョンだ。
(Vo音源はおそらくそのままだと思われる)

元曲自体がチルアウトなバラードだったのでそれほど大きな変化は感じないが、
音がアナログになりウォーム感が増している。ウッドベースの響きが心地良い。

4曲目は”MOON JELLYFISH”のインストゥルメンタル。
まあ特に言及することはない。
やはり鷲尾さんのVoあってこそのFlower曲だな、というのが逆説的にわかる。


【4枚目(通常盤)】

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3枚目と同様の通常盤。

1曲目の”MOON JELLYFISH”。
全体を通して(特にサビ)鷲尾さんのVoに力強さを感じるのが印象的だ。
訴えかけるような歌唱は”秋風のアンサー (version 2016)”を彷彿とさせる。
フレッシュな感覚を包含しつつ、Flowerとしての軸がブレていないあたりはさすが。

2曲目の”とても深いグリーン”。
すべてのメロディが泣けるという凄まじい名曲だ。
2017年ベストソングはもうこれで確定なのでは?とすら思う。

Aメロの透明感溢れるウィスパー気味の声、
そこから一転してB面での緊張感溢れる深いヴォイス、
サビでのファルセットを変幻自在に操り劇的に表現するテクニック、
転調Cメロでの悲哀に満ちた余韻の残し方、そしてラストのサビ。
5分14秒にわたる圧巻のドラマである。

特に超難易度が高いサビの歌メロを見事に歌い上げる様は
文句なしに歌姫の領域だ。神々しすぎて鳥肌が止まらない。


贔屓目抜きで言わせてもらうが、2016年以降の鷲尾さんの歌唱力・表現力は
FlowerファンやE-girlsファンの間で留めておくにはもったいなさすぎる。
絶望・悲哀ソングを歌っている時のこの人は十分世界で通用するヴォーカリストだと思う。

個人的にはMARILLIONのThe Great EscapeやGazaやNeverlandあたりを
鷲尾さんに歌ってもらいたい…というかスティーヴ・ホガース以外に
あれらの曲を歌ってハマるのは鷲尾さんしかいない。

3曲目の”カラフル a touch of jazz mix”。
元曲と比べて、鷲尾さんのVoが際立つアレンジとなっている。
しんみり感が増しており、夜に聴くにはぴったりだろう。

2017年1月16日に行われた、『THIS IS Flower THIS IS BEST』に伴う
ツアー「Flower Theater 2016 〜THIS IS Flower〜」の最終公演でも
“カラフル”が披露され、おれも実際にライヴビューイングで観たが、
非常に感動的だった。

次のツアーでは今回のバージョンでパフォーマンスしてくれると嬉しいなと思う。

4曲目は”MOON JELLYFISH”のインスト。感想は割愛。


【5枚目(期間生産限定盤)】

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こちらは期間生産限定盤だ。
ご覧の通り初回生産限定盤や通常盤とはジャケが異なる。

内容は”MOON JELLYFISH”の1曲のみ収録。
お値段も税込500円とお手頃価格。

ただ、FlowerファンやこれからFlowerを聴いてみたいという方には
できれば初回生産限定盤か通常盤を購入していただきたい。
なぜならそちらに収録されている”とても深いグリーン”が稀代の超名曲だからだ。

それはさておき本作収録の”MOON JELLYFISH”。

鷲尾伶菜というヴォーカリストが尋常じゃないこだわりと責任感を持って
レコーディングに臨んでいることは各種ドキュメンタリー映像や舞台裏映像からも明らかだが、
アクセントの位置、フレーズ終わりでの声の残し方、ヴィヴラートの有無・強弱といった
技巧的な側面に加え、曲に対する表情の付け方が鷲尾さんは本当に見事だと思う。

この”MOON JELLYFISH"からもそのあたりを如実に感じ取ることができる。
アップテンポな曲調ながらも哀愁感を押し出した歌メロになっているが、
その哀愁感を強くなりすぎないようにしつつ、それでいて感動的に仕上げているのが素晴らしい。
ラストのサビに重ねているコーラスの部分の表現力もとても良い。


【6枚目(期間生産限定盤)】

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続いても期間生産限定盤。
というかこれ含めて残り8枚ぜんぶ期間生産限定盤だ。8枚。8枚て。

さてその”MOON JELLYFISH”。
とてもキラキラしている。

キラキラしているが、月刊EXILE・2017年6月号で
坂東さんが語っている「キラキラしているからこそ切なさが倍増している」という表現が
とても言い得て妙だ。

こういった「明るい音像なのにテーマがめちゃくちゃ重い」曲はとても魅力的。
その意味ではDREAM THEATERの”Solitary Shell”あたりと同じ路線にあると言えるだろう。


【7枚目(期間生産限定盤)】

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三代目J Soul Brothersはじめ他のLDH関連アーティストの曲もそうなのだが、
Flowerの曲のヴォーカルラインは音数が多くて歌うのが非常に難しい。

おれも一度カラオケでチャレンジしたことがあるが、きつすぎて歯が立たなかった。

“MOON JELLYFISH”もご多分に漏れず歌メロの詰め込み具合がすごく、
またアップテンポ気味ということもあり難易度は倍増しているのだが、
Real Soundでのインタビューで鷲尾さんはこう語る。

この曲はサビ部分の音数がすごく多いけど、音と歌詞がマッチしているので歌いやすいですよ

完璧超人かよ。

歌唱のブラッシュアップだけではたどり着けない領域、
曲に憑依することで達することのできる領域にいるからこその所感なのだろう。
鷲尾伶菜恐るべし。


【8枚目(期間生産限定盤)】

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ベスト盤発売以降、”モノクロ/カラフル”→”MOON JELLYFISH”のシングルの流れは
これまでのFlowerのイメージと少し一線を画すものではあるが、
この戦略はおそらく正しい。

Real Soundでのインタビューで晴美さんも語っているように、

Flowerの世界観やイメージをもっと深く根付かせた先に
ようやく「Flowerっぽい」で伝わる表現になったり、今まで味わったことがないような
感情を抱いてもらえるパフォーマンスができるようになる

ことを意図してるのであればグループとして妥当な進み方だと思うし、

その世界観を一言じゃ表せない不思議なものとして提示しつつ、核となるメッセージは伝わる

の言葉通り、Flowerとしての多様性を見せていきながら核のFlowerらしさは失われていない
素晴らしい新曲である。


【9枚目(期間生産限定盤)】

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“MOON JELLYFISH”発売に際してのインタビューで、
萩花さんが興味深い発言をしている。

バラードだけをやるグループというよりは、”孤独を伝えたり、孤独を提供する”ということを
テーマにしていけたらいい
(月刊EXILE・2017年6月号から抜粋)

メンバー自身は歌詞の世界観を念頭においているのだと思うが、
おれはやはりその世界観を体現する鷲尾さんの声や各パフォーマーのダンスにこそ
それが現れていると思うのだ。

“MOON JELLYFISH”での鷲尾さんのVoの力強さ、MVでの躍動感溢れるパフォーマンスには
萩花さんが言うところの「切なさや孤独などの強い感情」(Real Soundインタビューより)が
見事に表現されている。
表現者集団としての高い意識がアウトプットされている新曲だ。


【10枚目(期間生産限定盤)】

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10枚目。10枚目か。
(おれ、なにやってんだろ…)という思いが強くなってきたが
こういうのは考えたら負けだ

Flowerの曲の魅力はいろいろあるのだが、坂東さんが言うところの
聴いてくれている人の影の部分に寄り添える」(月刊EXILE・2017年6月号より)という点が
多くのファンにとっては大きいんだろうなと感じる。

好きなジャンルやアーティストに限らず、「曲に救われた」という経験がある人は
少なくないと思う。

おれにとってもFlower楽曲や鷲尾さんの声はその一つだし、
この歳になってそういう音楽に出会えたのは良いことだと思っている。

よく「感性が高い10代のうちにいろんな音楽を聴いたりいろんなアートに触れるべき」などという
意見を見るが、そんなくだらない意見は無視すればよい。

グッとくる音楽は何歳で触れてもグッとくるものだし、
それがいつ、どのタイミングで入り込んでくるのかは人それぞれだ。


…ぜんぜん曲のレビューになってないが、まあ察してほしい


【11枚目(期間生産限定盤)】

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いやもう正直かなりつらい。

自分のボキャブラリーの貧弱さと引き出しの少なさを痛感する。

やっぱりレビューというものは一人でやるもんじゃないんですよ。
一つの作品に対していろんな人がいろんな角度からいろんな観点でレビューをする。
それがあるべき姿だと思うんですよね。

で、そこに作品に対する否定的な意見や批判的な言説があってもおれはいいと思う。

否定的な意見にイラッとしたのなら、それを上回る熱さを持って作品の良さを語ることで
対抗すればいいだけの話だ。否定的な意見を否定してはいけない(的はずれなものは除く)。

むしろいろんな意見が集合し議論されることで
その作品やアーティストの存在意義がより高まるのではないのかね。


萩花さんがFlowerの特性について

観る映画のジャンルもアートの趣味も、聴く音楽も全然違うので、6人分の個性が混ざり合う。
しかもそれぞれが積極的にインプットしている

と述懐しているが(Real Soundインタビューより抜粋)、表現者集団として理想のかたちだと思う。

我々ファンやレビュワーにも刺さるお言葉だ。


【12枚目(期間生産限定盤)】

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書き忘れていたけど今回のシングル、裏ジャケのアー写がとても良いです。
3種類ある表ジャケも良いけど個人的には裏ジャケが一番好きかもしれない。


【13枚目(期間生産限定盤)】

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最高。最高だ。




以上!おわり!

いやほんと、ふざけているようにしか見えないかもしれないけど、
まったくふざけているわけではないという点だけは強調しておきたい。

おれFlowerが好きすぎるんです。しょうがない。SHOGANAI。
Happy with What You Have to Be Happy With。

今回のシングル”MOON JELLYFISH”とカップリングの”とても深いグリーン”が
本当に名曲であるということは嘘偽りなく素直な感想です(特に後者)。

おれのように普段ヘヴィメタルやプログレッシヴロックを主食としている方々にも
なにかしら響くポイントがあるんじゃないかと。

なのでこの記事はおれのFlower愛だと思って大目に見ていただければ幸いだ!
なんかすいません!

もしこのブログが問題になった場合、「ファンなら13枚レビューをやるべき」と
おれを煽ってきた友人のK氏を全力で訴えようかなと。あの野郎。




映画「聲の形」と私

以下に書くことは極めて私的な感想であり、誰かに読まれることを想定していません。

共感してもらうことはおそらく難しいと思うし、そもそもたぶんおれにしか分からない感覚を書いていると思う。

ただおれは、この映画について感じたことを文章に残さなければならないと感じた。
心をぶん殴られるような衝撃をここまで受けるとは思ってもみなかったから。
自分の人生そのものを問われている気がした。

お読みになる方は、非常に衝動的に書いているので支離滅裂な部分が少なからずあること、またネタバレを含んでいることをご承知置きください。


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おれは9月29日に映画『聲の形』を観た。
原作漫画は読んでおらず、事前インプット一切なしの状態で(なんか話題だし観てみよっかな)という軽い気持ちで観に行った。


映画が終わり劇場が明るくなったあと、誇張抜きでしばらく席を立てなかった。
涙が止まらなかった。すごい。一体なんだこれは? あまりに強烈すぎる。エグすぎる。重すぎる。
描かれているのはおれの人生そのものだった。

映画を観て、これほどダイレクトに感情移入した作品は過去他にない。
まさか30歳を過ぎて、こんなに打ちひしがれる感覚を味わうとは思ってもみなかった。


おれが感情移入したのは石田将也ではなく、聴覚障害を持つ西宮硝子。
そしてこの映画は「覚悟」の話だった。

葛藤と覚悟をここまでリアルに表現した作品はそうそうない。
明確に説明されない部分の描写力がひたすらすさまじい。

特殊学級ではなく普通学級の一員として皆と生活すること、その中で自分がいかに振る舞うべきか、弱者として扱われる「壁」を取り払うために悩み・悲しみ・恐怖・怒り・苦しみを極力表に出さない…etc.

そういった「小学生の西宮硝子」の葛藤が、「常に笑顔でいること」の描写から痛いほど伝わってくる。そしてその、自己防衛と他者への配慮からくる行動が、自分の意志とは真逆にはたらきさらなる隔たりを作ってしまうことの苦悩も。

「高校生の西宮硝子」も、目を背けたくなるほどリアルだった。
自分の試みは単なる独りよがりなのではないか?他者とのコミュニケーションとは?周囲の幸せとは?に答えが出せないまま、ただ「ごめんなさい」を繰り返すしかアウトプットできない様子を見るのは本当につらかった。本当に。

中盤以降の硝子の場面場面で変わる髪型、あれは「覚悟」の試行錯誤だ。
単純にポニーテールにしたのではなく、補聴器という自分の弱さを他者にさらけ出すという硝子本人にしかわからないチャレンジであり、補聴器が見えているか見えていないかという細かい描写に硝子の感情がつぶさに表れている。補聴器の色が前半と中盤以降で違うのもそのへんを意識したものだし、終盤の学祭のシーンでポニーテールをやめているのは、ひとまずは「覚悟」を構える必要はないという、西宮硝子にとってのささやかな「前進」の表れである。

この映画の西宮硝子の描写はどう考えても、実際に体験していないと描けない類のものだ。


でもそのあたりがピンとこない鑑賞者もおそらくたくさんいると思う。
なぜならこれは登場人物の中の「誰の」視点に立って観るかによって感じ方が異なる類の映画だし、またその感じ方は個々人のこれまでの人生経験に大きく依存していると思うからだ。

でもおれには西宮硝子の葛藤と覚悟が、ぜんぶ理解できてしまった。
細かい描写の一つ一つに心から共感できてしまった。
西宮硝子の生き方はおれの生き方とまったく同じだったから。

西宮硝子はおれそのものだった。



たとえばこの映画を「感動ポルノ」や「贖罪」と評する人について、感じ方は上記の通り個々人の感覚に拠るのでそこにイチャモンをつけるつもりはないが、西宮硝子の視点で観たおれにとっては「感動ポルノ」や「贖罪」といったことばは絶対に出てこない。

これは何かを解決したり許したりして終わっている映画ではないからだ。「前進」はあれど、「解決」はない。ハッピーエンドのように見えてまったくそうではないのだ。「隔たり」は依然としてそこにあるのだから。そうである以上、「感動ポルノ」という感想には決して至らない。そしてこの「隔たり」が依然として存在し、かつこれからも存在し続けるという点が重要だと思う。それが現実の姿だし、ゆえに西宮硝子の「覚悟」が大きな意味を持つ。様々な思いをはらんだ「覚悟」に至る葛藤が痛々しくリアルだからこそ、あのラストシーンで素晴らしい音響効果とともに「開放」される感覚は、将也だけでなく硝子の合わせ鏡として、何物にも代えがたい震えをもたらす。


「贖罪」についてはおそらく石田将也の視点に立った人から議論されるワードだと思う。でもおれは「贖罪」自体がここでは成立しないと思っている。
贖罪とは、罪を許されたいと考える人間、そして相手の罪を許す人間の両者がいて成立するものだ。だが西宮硝子は「相手の罪を許す人間」の立場には絶対に立たない人物である。そもそも「相手に罪がある」という発想すら、彼女にはない。何事に対しても「すべては自分が悪い」と背負ってしまう人間だ。バカにされ、いじめられ、非難されたときに「なんだとこのやろう!」といった感情は出してはならない、なぜならそうすることでまた壁ができてしまうから……と悲痛なまでに自己制御してしまう人間である。
ゆえに彼女から出てくる言葉は「私は、私が嫌いです」であり「私といると不幸になる」なのだ。植野直花の「あんたのせいですべてが崩れた」をそのまま受け取ってしまうのが西宮硝子である。そういう人間に対して「贖罪」は決して成立しない。


ここまで書いていて非常につらいが、映画を観ている間も硝子の苦しさ・痛々しさが生々しすぎて何度も目を背けたくなった。おれにとっては本当に、自分自身の生き様を見せられているような感覚なのだ。



10月16日、この映画を再度鑑賞した。

再度打ちのめされることが容易に想像できたので観に行くかどうか迷ったが、同時にもう一度観なければならないという感情もあったので意を決して足を運んだ。

そして案の定泣いた。
一回目鑑賞時には気がつかなった伏線や細かい描写を読み取ってしまい、より一層感情移入してしまった。


映画が終わったあと、「西宮硝子はおれそのもの」という感覚が少し間違っていることに気づいた。


西宮硝子は「おれ以上に」おれそのものだった。


なぜおれはここまで衝撃を受け、ここまで感情移入し、ここまで痛みを感じ取れるのか?


西宮硝子は、おれが「あの場所へ行きたいけど、そこまでする勇気はない」と日和ってしまうような高みへ果敢に挑戦をする。そして失敗する。
おれが「しくじったらあそこまで落ちてしまう。そのつらさは嫌だ」と想像し、チャレンジをしない言い訳にしていたような場所へ、西宮硝子は落ちていく。
それを何度も繰り返す。繰り返して傷を負っていく。

おれから見る西宮硝子はギリシャ神話のイカロスのようなものだ。

目指す方向は同じだが、おれが「あそこまで翔ぶと翼が太陽に焼かれてしまう」と躊躇する高みまで、彼女は翔んでいく。そして翼を焼かれ、おれよりも下へ墜落していく。

翔ぶ動機が「過信」ではなく「覚悟」という点がイカロスとは決定的に違ってはいるものの、おれと同じ放物線上にいながらも、おれよりもはるかに大きな痛みを経験しはるかに大きなものを獲得する存在。彼女はまさにそれだった。


だから「おれ以上に」おれそのものなのだ。


エミリー・ブロンテの著作『嵐が丘』で、キャサリンはヒースクリフの存在についてこう語る。

I am Heathcliff!
私はヒースクリフなの

構図は違えどおれが西宮硝子の存在に対して感じるものは、『嵐が丘』でのキャサリンの感情と完璧にダブる。

まさに自分自身を観ているような感覚。



この映画を観て以降、ずっとある思いに囚われている。


おれは今まで、何に挑戦しながら生きてきたのか?
そしてこれから何を価値観の拠り所として生きるのか?
おれは何と闘ってきたのだろうか?
それ以前に何かと本気で闘ったことがあるのか?


おれが生きている意味はあるのか?




Frost* - Falling Satellites

Falling SatellitesFalling Satellites
Frost*

1. First Day
2. Numbers
3. Towerblock
4. Signs
5. Lights Out
6. Heartsrings
7. Closer to the Sun
8. The Raging Against the Dying of the Light Blues in 7/8
9. Nice Day for It...
10. Hypoventilate
11. Last Day
12. Lantern
13. British Wintertime

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2008年の2nd「EXPERIMENTS IN MASS APPEAL」から
活動休止〜再始動を挟んでの8年ぶりの3rd。

2011年にJem GodfreyがFROST*復活を宣言してから
結局5年も待たされたわけですが、それだけ待った甲斐のある傑作です。


導入部First Dayでの煽りからアップテンポなNumbersへと雪崩れ込む
掴みは完璧。

続くTowerblockはアンビエント+ブレイクビーツ/グリッチホップといった
実験的な手法を活用しつつ、後半でドラマティックな展開を見せる名曲。

Signsでヘヴィな展開を見せ、その次のLights Outがこれまた白眉。
この曲でゲスト参加している女性Vo、Tori Beaumontがとにかく素晴らしい。
Jemとのコーラスやバックグラウンドで歌う声質とアトモスフェリックな曲調
との相性が抜群です。おれはこの曲が一番好きだなー。


Heartstrings以降の6曲は"Sunlight"と題された一つの組曲になっています。
(とは言えあまり組曲感はなく、それぞれ個々の楽曲として楽しめる)

先行公開されたHeartstringsは
2013年のライヴ作品「THE ROCKFIELD FILES」に収録されたものと同曲。

「THE ROCKFIELD〜」ではHyperventilateとBlack Light Machineに挟まれる
かたちで収録されていましたが、そこでも違和感が無かったように
まさに1stのFROST*を想起させる曲調。


続くCloser to the Sunは中盤までChillwave/IDM的な雰囲気で展開し
3分23秒あたりでギターソロが切り込むこれまたドラマティックな曲。

ここでのギターソロはJoe Satrianiがゲスト参加で弾いていますが、
完璧にマッチしていて本当に素晴らしい。
ギターソロからキーボードソロへ展開し、このあたりのメロディは
1stのMilliontownのフレーズを意図的に再利用しているように思えます。

7分50秒とアルバム収録中最長となる
The Raging Against the Dying of the Light Blues in 7/8は
現在Steven Wilson Bandでも活躍しているCraig Blundellのドラムが印象的。

その次のThe Nice Day for It...と併せてこのへんも1stっぽいですね。


サウンドスケープ的な小曲Hypoventilateを経てラストは
ピアノ+Voでエモーショナルに聴かせるThe Last Day。
ここでの歌唱は実に感動的です。



なお本作のデラックスエディションはボーナストラックが2曲ついており、
そのうちの1曲LanternはHeartstringsと同じく
「THE ROCKFIELD FILES」に収録されていたものです。

シンプルなLantern、メロディが素晴らしいBritish Wintertimeともに
ボーナスにしておくにはもったいない佳曲なので手に入れるならそちらを。



Dec BurkeがメインVoで参加した前作2ndは悪くはなかったものの、
ボリューム面でのサウンドプロダクションがちょっとイマイチだったことと
1stでの魅力だった突き抜けるような爽快感や
ハイブリッドなドラマティックさがやや希薄だったように感じます。

今回の復活作はそのあたりを改善してまさに「皆が求めるFROST*」を
体現しつつ、古臭さや他バンドとの近似性を感じさせないさすがのクオリティ。


次はぜひ来日してもらってライヴ盤「FROST*FEST」や
「THE PHILADELPHIA EXPERIMENT」、「THE ROCKFIELD FILES」で
聴けるような完璧なライヴを体験したいですね。