Anthrax - For All Kings

For All Kings/digipakFor All Kings
Anthrax

曲名リスト
1. You Gotta Believe
2. Monster at the End
3. For All Kings
4. Breathing Lightning
5. Suzerain
6. Evil Twin
7. Blood Eagle Wings
8. Defend/Avenge
9. All of Them Thieves
10. This Battle Chose Us!
11. Zero Tolerance

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やたら前評判が高かった割には
うーんそんなにでもないかな…ってのが3周聴いた上での印象。


ざっくり言うと前半は並で後半になるとやや持ち直す、って感じだ。

ミドルテンポ気味の曲が続くアルバム前半は正直
流れとしてあまり練られていないような気がする。


Joey Belladonnaはがんばってるけど歌メロがやや一本調子なのが
気になるし(歌メロ作ってるのはFrank Belloらしいが)、
リフがそれほどおもしろくないのがちょっと痛い。

ラジオフレンドリーなBreathing Lightningにしても、
どうせなら「WE'VE COME FOR YOU ALL」のSafe Homeみたいに
もっと振り切っちゃえばいいのに、と感じてしまう。


それぞれ単曲で聴くとそれほど悪くないし
前作のFight 'em 'til You Can'tみたいに
ライヴでカッコよさが増すようなタイプの曲だとは思うけど、
流れとして繰り返し聴くのはちょっときついかな…と。

「PERSISTENCE OF TIME」のA面に近いかなって感じですね。



一方で7曲目以降は良い曲が続く。
特にBlood Eagle Wingsのドラマティックなギターソロは素晴らしい。

全編通してそうだけど、今回から参加しているSHADOWS FALLの
Jon Donaisがとっても良いパフォーマンスを見せている。
歴代リードギタリストの中で一番かもしれない。

続くDefend/Avengeもライヴでの合唱を誘いそうな
いい感じのグルーヴメタルだし、
All of Them Thieves後半やThis Battle Chose Us!後半の
疾走パートもカッコいい。

んで最後は激速スピードチューンのZero Torelance。
うおーこれだよこれ!って感じですね。
純粋なスラッシュメタルがこれ1曲だけってのも若干寂しいですが。


てな感じで前半さえ耐えれば聴後の印象はけっこう良いアルバムです。



特に目新しいことは何もやってないし、
「さすがの大御所!」的な貫禄と説得力に溢れているわけでもないので
ぶっちゃけ「いつものANTHRAX」以上でも以下でもないと思いますが、
まあ前作よりは良いかなと。



正直ここ20年ぐらいのANTHRAXは、ちょっとシリアスすぎると思う。

速い曲をもっと作れとは言わないけど、このバンドの魅力だった
「軽快さと脱力感とバカバカしさ」がもっと欲しい。


Charlie Benante/Scott Ianがかっちょいいリフを作ってくれれば
別にそれでいいんですけど、まああまり期待できないのでね…。

「ATTACK OF THE KILLER B'S」的なアルバムを作るか、
もしくはS.O.D.を復活させるかして昔の勘を取り戻してほしいな。
(って新譜出るたびにそう思うけど)













Dream Theater - The Astonishing

ジ・アストニッシングThe Astonishing
Dream Theater

ACT I
1. Descent of the Nomacs
2. Dystopian Overture
3. The Gift of Music
4. The Answer
5. A Better Life
6. Lord Nafaryus
7. A Savior in the Square
8. When Your Time Has Come
9. Act of Faythe
10. Three Days
11. The Hovering Sojourn
12. Brother, Can You Hear Me?
13. A Life Left Behind
14. Ravenskill
15. Chosen
16. A Tempting Offer
17. Digital Discord
18. The X Aspect
19. A New Beginning
20. The Road to Revolution

ACT II
1. 2285 Entr'acte
2. Moment of Betrayal
3. Heaven's Cove
4. Begin Again
5. The Path That Divides
6. Machine Chatter
7. The Walking Shadow
8. My Last Farewell
9. Losing Faythe
10. Whispers on the Wind
11. Hymn of a Thousand Voices
12. Our New World
13. Power Down
14. Astonishing

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いやーがんばった。がんばったよペトルーシ。

あ、ペトルー「チ」って発音しないと全国数千万のDTファンに怒られますか?
じゃあ間を取ってJPにしますね。

最初に聴いた時に
(おいおいまるでKISSの「MUSIC FROM THE ELDER」やんけ)と思ったのも
この場を借りて謝罪したいと思う。
今回JPさんに謝る機会を木村くんが作ってくれました。


ともかくこのアルバムはJPがついにMike Portnoyの幻影を
完全に振り払うことに成功した、記念碑的な作品だ。
名盤である。JPにとっては。

そう、「THE WALL」がRoger Watersにとってのトラウマ解消作業だったのと同様に、
「THE ASTONISHING」の制作はJPにとっての(トラウマの内容は異なるけど)
トラウマ解消作業だったのである! どーん!



まーしかしこのボリュームはすごい。
よく一年半でここまでのファンタジー物語を作り上げたもんだよ。

ストーリーがイマイチよくわからないし特に深みもないとか、
設定コンセプトがありきたりすぎるとか、
一昔前の洋ゲーみたいなキャラクターデザインがクソダサいとか、
そういうのはこの際置いとこう。
些細な問題である。
素直にJPの苦労の産物を讃えようではないか!


そりゃこれだけストーリーに注力すれば
作曲の主導権をJordan Rudessにもっていかれるのもしょうがない。

John Myungが完全に空気になってるのもしょうがない。
しょうがないよね。SHOGANAI。
Myungは犠牲となったのだ…。



マジメな話、本作の出来はとても良い。

制作過程は上述の通り極めて分業に近いかたちでなされているが、
それによりJPのヘヴィなリフ介入が最小限になったことで
結果としてサウンドに統一感が出ていると思う。

試行錯誤感がいまだ拭えなかった前作「DREAM THEATER」と比べても
アルバム通して聴ける度は遥かに高い。
2枚組にもかかわらずそう思えるのはそれだけ完成度が高い証拠だよね。


Mike Manginiのドラムサウンドも、溶けこみ具合が格段に向上した。
今回ドラムのミキシングをかなり入念にやっている気がする。

前作まで残っていた違和感がなくなったし(特にスネアの鳴り)、
さすがにこのアルバムに対して「Portnoyが叩けばもっと良くなる」と
言う人はいないだろう。Portnoy本人を除いて。


SFチックなストーリーについてはStar Warsとかトールキンとか
Game of Thronesあたりの影響が明らかにされているけど
そのあたりはJPが単にそういうのが好きってだけで
それ以上でもそれ以下でもないと思うので個人的にはあまり興味はない。

「OCTAVARIUM」でやったような英国的感性全開の
いろいろな隠し要素も今回は無いし、そもそもそのへん凝るのはPortnoyの領分だ。



コンセプトアルバムであることに関しては、JP本人が発言しているように
"まずは曲の原型ありきで始まった"「SCENES FROM A MEMORY」とは異なり
"今回はまずJPがストーリーを全部書き上げ、その後作曲に入った"という
アプローチの違いからも分かるように、

音楽的にはいわゆるコンセプトアルバムというよりも
Jesus Christ SuperstarとかPINK FLOYD「THE WALL」のような
ロックオペラに近い。


というかこれ、完全に「THE WALL」ですな。

RUSHの「2112」を引き合いに出している人もいるけど、
「THE ASTONISHING」のストラクチャーは思いっきり「THE WALL」だよ。

「THE WALL」と聴き比べてみればわかるけど、
びっくりするぐらい似てる部分が多くてウケる。


アルバム発売直後にJPがファンからの質問に答えまくる
「John Petrucci本人だけど何か質問ある?」企画があったが、実際その中で

The Wall is one of my all time favorites.

と、本人が強調していた。


なおJPはそのQA企画でこんな発言もしている。

the NOMAC story will be explored further in future novelization.

マジかよ。誰が読むんだそんなの。

…需要あるのかどうかはともかく、マルチメディア展開も見据えているという点も
「THE WALL」を意識している。ような気がする。



作曲面についてはまさにJordan Rudessの独壇場という感じで、
Mike Portnoy脱退後のドラマーオーディション映像で明らかになった
「DREAM THEATER裏番長」っぷりがこれでもかと発揮されている。

すさまじく過剰なオーケストレーションも、
「あの超超超大物David Campbellと一緒に仕事ができるなんて!」という
Rudessの喜びがモロに出ているようでほほえましい。



そんな感じなので、繰り返すがヘヴィなリフには乏しいし
メタルなDREAM THEATERが好きな人にとっては物足りないと思う。

インタープレイの応酬も少ない上に劇的展開を見せる長尺曲もないので
そのあたりに不満を感じる人も多いだろうし
本人たちも認めるようにリスキーなアルバムではある。


DREAM THEATERのアルバムっつーより

製作総指揮:Jordan Rudess
出演:James LaBrie
原作:John Petrucci

やんけ、と思う人がいるのも分かる。


でも、ま、たまにはいいじゃないですかこういうのも。


おれはJPに関しては「FALLING INTO INFINITY」以降開眼した、
David Gilmour/Steve Morse的エモーショナルギタープレイについては
本当に心から大好きだけど、
メタリックなリフを作るセンスはそれほど高くないと常々思っている。
(借りものリフとパターン化が多いから)

今回Jordan Rudessに身を委ねたことで
そういった「退屈なヘヴィネスを無闇にぶち込む」のが極小化されたのは
とても良いことだと思う。


実際問題、少なくともアメリカでは相当売れるんじゃないかな。
元々PINK FLOYDのMoneyとか「THE WALL」とか
TRANS-SIBERIAN ORCHESTRAあたりの「大味なプログレ」が大好きな人種だし。
やつら小難しいプログレよりもこういうのが好きだからな。


ライヴがどんだけ豪勢になるのかも興味ありますね。

発売前から「ツアーは新譜だけでセットリストを組む」と公言しているので
そうなるだろうけど、視覚要素にどこまでお金かけてくるかが楽しみ。


というわけであらゆる意味で
DREAM THEATER版(というよりJohn Petrucci版)「THE WALL」な本作、
お見事でございます。「THE FINAL CUT」にならなくて本当に良かった。



さて、一方で今回のアルバムで存在感が極めて希薄なJohn Myungは
本作に対して果たしてどう思っているのか…。

誰かインタビューはよ。







英国曇天ジャズロック

The Polite ForceThe Polite Force
EGG

曲名リスト
1. A Visit to Newport Hospital
2. Contrasong
3. Boilk
4. Long Piece No. 3

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デイヴ・スチュワート。


と言ってもEURYTHMICSの人ではなく
90年代後期CAMELのドラマーでもない。

HATFIELD AND THE NORTHやNATIONAL HEALTH、BRUFORDで
キーボードを弾いていた方のデイヴ・スチュワートである。


そのデイヴ・スチュワートがHATFIELD以前に在籍していた
ジャズロックバンドがこのEGG。

EGGの母体はURIELというバンドで、スティーヴ・ヒレッジが脱退し
キーボード+ベース+ドラムのトリオになったところでEGGに改名した。


バンド名を冠したデビュー作を1970年に発表後、
管楽器隊をゲストに据え翌年に発売した2ndが『THE POLITE FORCE』である。

このアルバムはSOFT MACHINEやカンタベリー周辺の
英国プログレを探求する上でぜひとも聴いていただきたい名作だ。


ただしカンタベリー系譜に位置するとはいえ、
穏やかさやのほほんとした雰囲気は皆無。

ここにあるのは重く、陰鬱で屈折した、
まさに英国の曇天のような冷たく暗いジャズロックである。


1曲目"A Visit to New Hospital"の導入部からして重い。

ドゥームメタルかと言わんばかりの沈み込むキーボードリフ。

その後ジャジーかつメロディアスな展開を見せるも、徹底してクール。
モント・キャンベルのVoもダンディズムに溢れる。
曲終盤では再び冒頭のドゥームリフ。


激渋な曲調ながらも、デイヴ・スチュワートのおそろしく歪んだ
オルガンの音色はファズギターかと勘違いしてしまうほどのヘヴィネスであり、
そのせいか初期ハードロック的なカタルシス、カッコよさがある。


続く"Contrasong"は一転して超難解な変拍子リズム。
その上をVoと管楽器隊が怪しげなメロディを奏でる。

胡散臭さ満載だが、決しておふざけモードにはならず
徹底して醒めた感じがたまらない。


3曲目の9分半に及ぶ"Boilk"はさらに難解だ。

謎のSEやベルの音で始まり、テープ逆回転音と金属音がひたすら続く。
完全にノイズミュージックの世界である。

そして終盤にはバッハの「アダムの罪により、すべては失われぬ」が
オルガンで奏でられる。実験的かつ前衛極まりない。


アルバム最後を飾るのは、20分以上の組曲"Long Piece No. 3"。

凄まじい変拍子の猛襲で幕を開けるPart1、
お洒落なハモンドメロディーから唐突なノイズの嵐を挟み
再びジャジーに展開するPart2、
勇壮かつ緊張感溢れるリフ・メロディーのアンサンブルを聴かせるPart3、
そして変拍子でエキサイトメントたっぷりに疾走するラストのPart4。

EGGの音楽的要素が凝縮された素晴らしい組曲である。



とんでもなく技巧的な変拍子展開、さらに前衛ノイズをフィーチャーしつつも
一貫して冷静で醒めているところがこのアルバムは最高にカッコいい。

前述のSOFT MACHINEと比較されることも多いが、
こちらの方が(ヘヴィな音像もあいまり)曲のメリハリがあるように感じる。

70'sヘヴィロックとジャズロックの中間点にいるバンドではないだろうか。



なおEGGはこの後1974年に
最終作となる3rd『The Civil Surface』を発表している。

こちらはさらに輪をかけて前衛・難解な作風となっており正直かなり地味だが、
盟友スティーヴ・ヒレッジやSPIROGYRAのバーバラ・ガスキン、
HENRY COW他のリンゼイ・クーパーといったメンツが参加している。
『The Polite Force』を気に入った方は一聴の価値あり。



「"英国"プログレってどんな音なの?」との問いに対する回答は非常に難しいが、
このアルバムの雰囲気・音像はまさに"英国"としか言いようがなく、
その意味でも非常に重要な作品だと思う。





後期90年代=メロハー黄金期

The Fire WithinThe Fire Within
DANTE FOX

曲名リスト
1. Over You
2. Under the City Lights
3. A Matter of Time
4. Firing My Heart
5. All I Need
6. Remember
7. In My Dreams
8. Moonlight
9. Message from My Heart

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「それほど目を見張る出来ではないけど、なぜか聴きたくなるバンド/アルバム」
というのが、誰しもあるのではないだろうか。

おれにとってDANTE FOXはそういうバンドの一つ。


ティム・マンフォード(G)&スー・ウィレッツ(Vo)夫妻が率いる
英国のDANTE FOXは、1996年に『UNDER SUSPICION』でデビュー。

その後99年に発売された2ndがこの『THE FIRE WITHIN』。

当時日本ではゼロ・コーポレーションと並びメロハー総本山として名高い
avexのBareknuckleレーベルから発売された。


内容はスー・ウィレッツの女性Voを据えた
オーソドックスなメロディック・ハードロックである。


楽曲は非常に良く、取り立てて「感動の名曲! 名盤!」というレベルでは無いが
これといった捨て曲が無い。

この「"名盤" "傑作"と呼ぶには今一歩」ってのがポイントで、

アルバムの流れにしても
THE・メロハーな"Over You" "Under the City Lights"から
ちょっとJOURNEY入ったバラード"A Matter of Time"を挟み
キャッチーなハードボップ"Firing My Heart"へ…と、理想的な構成だが
「すげえ!」「ヤバい!」というほどでは無い。


ムードとしても非常に洗練されていて、
音像としてはHEARTの『BRIGADE』あたりを彷彿とさせるものの
当然ながらあそこまで超一流なプロダクションでは無い。


スー・ウィレッツにしても良いVoパフォーマンスを聴かせてくれるが、
声量・声域が特段優れているわけではなく、
声質も(おれの好みの話だけど)それほど魅力的では無い。



…という感じで書くとなんだか貶めているみたいだが、そうではなくて、
上述の通りあらゆる要素が75点〜80点なのに
なぜか愛聴してしまうアルバムなのである、これ。


きっと波長的に「ちょうどいい」んだろうなあ。

いわゆる"名盤"よりも、これぐらいのレベルのアルバムの方が
聴く回数多かったりするよね。


現在再発されているのかどうかは知らないが、
中古等で見かけたらぜひ聴いてみていただきたい。

ちなみに本作にはバックVoとしてSHYのトニー・ミルズが参加している。






存在が地味すぎたのか、バンドは2nd発表後ひっそりとフェードアウトし、
2007年にひっそりと3rd『UNDER THE SEVEN SKIES』を発売。


その後再びひっそりと沈黙期間に突入し、
なんと昨年5年ぶりの新作ミニ『LOST MAN'S GROUND』をしれっと発表。


こちらも年間ベスト10に入れる程ではないが、
基本路線は変わること無く、キャッチーな"Who Stole the Innocence"や
ダークかつドラマティックな"Lost Man's Ground"、
1st収録の"I Can't Sleep"リメイク、
3rdに収録された"Goodbye to Yesterday"のアコースティックVer等
まさに「良作」という言葉が似合う良いアルバムだった。ぜひ。





アイルランドの至宝

ザ・コアーズ・アンプラグドThe Corrs Unplugged
THE CORRS

曲名リスト
1. Only When I Sleep
2. What Can I Do?
3. Radio
4. Toss the Feathers
5. Runaway
6. Forgiven Not Forgotten
7. At Your Side
8. Little Wing
9. No Frontiers
10. Queen of Hollywood
11. Old Town
12. Erin Shore
13. So Young
14. Everybody Hurts
15. Dreams

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ケルト風味のフォークロック/ポップスを聴かせる
アイルランドのTHE CORRS。

5枚のスタジオ盤と3枚のライヴ盤いずれも素晴らしい作品だが、
どれか1枚選ぶとするならばダントツでこの『UNPLUGGED』だ。


長男ジム・コアー(G, Key)
長女シャロン・コアー(Violin, Vo)
次女キャロライン・コアー(Dr, Vo)
三女アンドレア・コアー(Vo, Tin Whistle)

から成る兄妹ユニットTHE CORRSが、
99年にMTVアンプラグドで演奏を行った模様を収録した本作。

1st『FORGIVEN, NOT FORGOTTEN』と
2nd『TALK ON CORNERS』の曲を中心に、
この時点での新曲"Radio"も交えたセットリストとなる。



各曲ともスタジオ盤verも十分に良いのだが、
もともとアコースティックな風情を持つ音楽性なので
こうして余計な装飾を削ぎ落とし演奏されると
より一層素晴らしさが際立つ。


またオリジナル曲以外にも、アイルランド民謡のインスト曲
"Toss the Feathers" "Lough Erin Shore"(いずれも1st収録)や、

ジミヘンの"Little Wing"、R.E.M.の"Everybody Hurts"、
FLEETWOOD MACの"Dreams"といった有名どころから
ジミー・マッカーシーの"No Frontiers"、
THIN LIZZYフィル・ライノットのソロ曲"Old Town"といった
渋いところまで、多岐に渡るカヴァーも披露。

特に"Dreams"と"Old Town"の
アレンジ&パフォーマンスが絶品だ。



4人とも一級品の演奏力・歌唱力を誇り、音質も最高。
個人的に発売以来ずっと愛聴している名ライヴ盤である。



透明感と機微に溢れるアンドレア・コアーのVoが大好きなんだが、
シャロンとキャロラインもアンドレアに匹敵する歌唱力を持ち
本作の"No Frontiers"では二人のリードVoを聴くことができる。


余談だがこの3人、姉妹ゆえ声質がそっくりであり、
音源を聴いただけだとまさかシャロンとキャロラインが
歌っているとは思わなかった。映像を観て驚愕した次第。



この『UNPLUGGED』はDVDも発売されており、
MTV向けに録られたこともあって非常に良画質。
こちらも併せてぜひどうぞ。

映像で観るとシャロン、キャロライン、アンドレアの
すさまじい美貌も鑑賞することができてとてもお得。

なおDVDは実際の曲順通りのセットリスト並びになっている。



本作以降のTHE CORRS作品としては
2000年の3rd『IN BLUE』、2004年の『BORROWED HEAVEN』、
2005年の『HOME』がある。


当時MTVでもPVが頻繁に流れスマッシュヒットとなった
"Breathless"を収録している『IN BLUE』、

頭2曲"Summer Sunshine" "Angel"のメロディラインが素晴らしい
『BORROWED HEAVEN』が特におすすめ。


In Blue
In Blue


Borrowed Heaven
Borrowed Heaven


なお『HOME』にはフィル・ライノット"Old Town"の
スタジオヴァージョンが収録されているが、
『UNPLUGGED』でのアレンジの方が個人的には好きだ。



子育てとソロ活動のため2006年から活動停止しているTHE CORRS。


長女シャロンはジェフ・ベック等をゲストに迎え
2010年に『DREAM OF YOU』を、

三女アンドレアは2007年に『TEN FEET HIGH』、
2011年にカヴァー集『LIFELINES』をソロでそれぞれ発表。



アンドレアの『LIFELINES』はジャズスタンダードや
THE VELVET UNDERGROUND、ニック・ドレイク、
ジョン・レノン、JON & VANGELIS、THE DOORSなど
激渋のチョイスでしっとりと聴かせる良作。

制作陣としてブライアン・イーノが関わっている。


Lifelines
Lifelines



シャロン・コアーは
「将来THE CORRSとして再び活動するかどうかは不明」
と語っているが、いつの日かまたこの4人で活動してほしいものだ。