偉大なる聴衆へ

B0000025EUTwo for the Show
Kansas

曲名リスト
1. Song for America
2. Point of Know Return
3. Paradox
4. Icarus - Borne on Wings of Steel
5. Portrait (He Knew)
6. Carry On Wayward Son
7. Journey From Mariabronn
8. Dust in the Wind/Acoustic Guitar Solo
9. Piano Solo/Lonely Wind
10. Mysteries and Mayhem
11. Excerpt from Lamplight Symphony
12. The Wall
13. Magnum Opus

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“元祖アメリカン・プログレ・ハード”KANSAS。


プログレの本場といえばまずは英国、
そしてイタリアをはじめとする欧州各国でありまして、


それに対し
アメリカ出身(かつ大物クラス)のプログレ・バンドというのは
なかなか数が少ないのですが、

KANSASはそんな数少ないトップ・バンドの中の一つであり、
かつ、合衆国を代表する名バンドだ!

と勝手に断言します。



74年にデビューしたこのバンド、

そもそもドラマーのフィル・イハートが渡英した際に
YESやらKING CRIMSONやらに衝撃を受けたのがきっかけとなって
始動しただけあって、

とってもヨーロピアンな音楽性を有しています。


ヴァイオリン奏者がいるのがKANSASの大きな特徴ですが、
特に初期においてはその音色を大きくフィーチュアしており、
それがどこか気品の高さを感じさせますね。


また曲の作り方も非常に緻密で、
“ノリ一発”的な感じはほとんどありません。


このあたり、ブリティッシュ・プログレの影響が
最も大きく表れている面ではないでしょうか。

こういう側面は、同時代のアメリカのバンド群と比べると
かなり異質で個性的なんじゃないかと思います。



しかしKANSASが偉いのは、単なる英国プログレの真似事をやって
終わらせるのではなく、

そこにハード・ロック的な躍動感を取り入れたことにあるんですな。


初期の“Song for America”“Journey From Mariabronn”といった
大作を聴いても、「超複雑」「退屈」といった印象はあまりない。

一貫して明快なドラマ性があり、
メリハリが非常に効いていて聴きやすいんですよ。


また同時に、KANSASは常にスティーヴ・ウォルシュの歌唱を
前面に押し出しているので、ある意味ではとてもキャッチー。


この二点はアメリカのバンドならではの特徴であるかと思います。


他バンドを比較対象とするなら、

BOSTON、STYXをもっとプログレ寄りにした感じ、
RUSHをもう少しカラフル&ソフトにした感じでしょうか。



そんな“プログレ” “ハード・ロック” “キャッチーさ”の
三つの要素が絶妙のバランスで絡み合っているのが、

76年の名盤4th『LEFTOVERTURE』であり、
77年の5th『POINT OF KNOW RETURN』であるんじゃないかと。

特に前者は、“Carry on Wayward Son”の大ヒットもあって
全米5位を記録。

後者も全米6位になった“Dust in the Wind”を収録しており、
アルバムとしては全米4位。


そういった売上を抜きにしても、

“Carry ~”は“プログレ” “ハード” “キャッチー”の三要素を
1曲の中にぶち込んだ名曲であり、

その他“The Wall” “Magnum Opus”が入っていますので
『LEFTOVERTURE』がロック史上に残る名盤であるのは疑いなし!



で、そんなKANSAS黄金時代のツアーの様子を
収めたのが78年発表のライヴ盤『TWO FOR THE SHOW』。

ライヴ盤なるものは巷に数多くあれど、その中でも
これは個人的に五本の指に入るほど愛聴しています。

さすが全盛期だけあって、
選曲/構成/演奏/テンション の全てが完璧。

文句のつけようがありません。


おれがKANSASの中で最も好きな曲は“The Wall”なんですが、

このアルバムの終盤、緊張感溢れる“Mysteries and Mayhem”から
“Lamplight Synphony(抜粋)”へと続き、そのまま“The Wall”へと
なだれこむ瞬間はいつ聴いても鳥肌が立ちます。

この展開は最強。


しっかし“The Wall”は本当に素晴らしいですなぁ。

イントロの壮絶な泣き、
曲全編を通しての哀愁のメロディがたまりません。

終わり方も感動的ですね。

ちなみに歌詞もなかなか良いんですよ。
ぜひ読んでみてください。


他にも『TWO FOR THE SHOW』に収録されている曲は
美味しいとこばかりなので、
KANSAS未体験者の方には
スタジオ盤よりも断然こちらをおすすめします。


例えばDREAM THEATERのメロディなんかが好きな方は
何かしら感じるところがあるはずかと思います。


また前述したようにKANSASは、“プログレ”の冠がついている
バンドとしては圧倒的に聴きやすい部類に入るので、

プログレは苦手、という方でも
問題なく入り込めるのではないでしょうか。


あと“Dust in the Wind” “Point of Know Return”なんかを
聴いてると、ふだんハード・ロックを聴かないような人でも
結構気に入るんじゃないかな~と。

普遍性があるということですね。偉大だ。


ということであらゆる音楽ファンにおすすめのKANSAS、
ぜひ聴いてみてください!




ちなみにこのバンド、今も現役。

『TWO FOR THE SHOW』以降、
80年代は“プログレ” “ハード”の要素を薄くしていって
AOR指向になっていき低迷していたようですが、

(この時期のアルバムをおれは持ってませんのでなんとも…。
もしかしたら「隠れた名盤」があるかも)

最近は徐々に初期の音楽性に回帰していってるようです。



あ~ライヴが観てぇ。