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Hoping... dare we dream?

Sound That Can't Be MadeSounds That Can't Be Made
MARILLION

曲名リスト
1. Gaza
2. Sounds That Can't Be Made
3. Pour My Love
4. Power
5. Montreal
6. Invisible Link
7. Lucky Man
8. The Sky Above the Rain

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日本におけるMARILLIONというバンドの立ち位置となると、いまだに
「ネオ・プログレ」「ポンプ・ロック」「GENESISフォロワー」
という認識をされていることが多いように感じる。


確かにフィッシュがフロントマンだった初期の頃は
上記形容が当てはまるかもしれないが、でももういい加減、
扱いを見直されるべきなんじゃなかろうか。



フィッシュがVoとしてMARILLIONに在籍した期間は
1983年〜1988年の約5年、発表したスタジオアルバムは4枚。

フィッシュ脱退後、スティーヴ・ホガースの加入と共に
MARILLIONの音楽性はガラッと変わる。


ポンプ・ロックとはとても表現できない、ましてやGENESISとも似ていない、
ヘタすると「プログレ」というカテゴライズ自体も合わないんじゃないか
っつーぐらいのPINK FLOYD的な繊細で穏やかで陰のある世界観。


ホガース加入以降、MARILLIONが発表したスタジオ盤は13枚。
彼は今年で在籍25年目。

バンドの一員としてフィッシュを遥かに凌駕するキャリアを経ているにもかかわらず、
いまだにマトモに認識されていないホガース。そしてホガース期MARILLION。


そんな長年の存在感の薄さを、どうかこのアルバムで払拭してほしい…!

昨年の新譜はそう切に願わずにはいられない傑作だったので
今回紹介させていただきます。



スティーヴ・ホガースが加入して3作目、
1994年に発表した7th『BRAVE』はロック史上に残る名盤でした。
(いかに素晴らしいかは6年ちょい前に書きました


ここで究極の「陰のドラマ」を描いたMARILLIONは、以降、
『AFRAID OF SUNLIGHT』 『THIS STRANGE ENGINE』 『RADIATION』
『MARILLION.COM』 『ANORAKNOPHOBIA』と、
より穏やかで内省的な、ぶっちゃけ割と地味な作品をリリース。


続く2004年の『MARBLES』では、
猛烈にダークな"The Invisible Man"を筆頭として
再び鬱エネルギー溢れる世界観を披露。これは名作でしたね。


で、その後は『Somewhere Else』 『HAPPINESS IS THE ROAD』
アコースティックリメイク盤『LESS IS MORE』と、
ますます大人のロック的な路線を継続。


そのあたりのアルバムも個人的には大好きだし、クオリティ半端ないので
文句の付けようが無かったんですが、
あまりに横綱相撲すぎて刺激が足りなかったのも事実であります。



そんな中、昨年発売されたのが
この17th『SOUNDS THAT CAN'T BE MADE』。


これがまさかの「MARILLIONお家芸・陰鬱ドラマ再び!」な、凄まじい内容。

ここまで気合の入ったアルバムを出してくるとは正直予想してなかった。


何と言っても1曲目の"Gaza"に尽きます。
MARILLION史上最長となる17分半の長さをもつこの曲。本当に素晴らしい。


イントロの硬質な感触からホガースのVoが入ってくる時点で
(これはヤバい…!)となり、鬼気迫る歌唱によって紡がれる緊張感満載の曲展開、
そして終盤のスティーヴ・ロザリー先生による泣きまくりの慟哭ギターワーク。


"Gaza"というタイトルの通り、パレスチナのガザ地区における難民キャンプと
そこで暮らす人々、子どもたちを描いた曲。

当然ながら相当にヘヴィな内容なんですが、
これはぜひ歌詞を読みながら聴いてもらいたい。


NGO支援活動を通して実際に現地の人々と交流したホガースが、
恐怖と悲しみと絶望、そしてほぼ祈りに近い希望とを
限りなく彼らに寄り添った視点で描いています。


感傷を湛えながらも過剰なセンチメンタリズムに陥ること無く、
それでいて決して傍観者とはならない、絶妙な立ち位置からの語り手。


まさにスティーヴ・ホガースの真骨頂と言える世界観に、
完全にマッチした表情を付加していく演奏陣。


特に終盤は圧巻。


"I can't know what twist of history did this to me. It's like a nightmare..."
という諦念、そして
"Someday surely someone must help us..."
という希望。

この相反する2つのフレーズがシンクロして歌われる部分は鳥肌モノです。


途中の歌詞にもあるように"Nothing's ever simple"な現実を踏まえつつ、
結末を安易な悲劇として終わらせはせず「希望」の要素を含ませる…。


『BRAVE』における"The Great Escape"〜"Made Again"の流れを
彷彿とさせる展開は、聴けば聴くほど心動かされます。


そしてその「希望」も単純な希望では無く、手の届かない希望だからこそ
悲劇性を増す効果を持っているとも捉えられるし、

上記"Someday〜"の直前の歌詞が
"With the love of our family, we can rise above anything."
であることからもそれは言える。


絶望的な境遇に立つ人にとって、現実的な「希望」「信頼」を見出だせる対象は
自らの「家族」にしか無い…。


…という、これだけで名盤確定の1曲目。


もちろん他にも、ロザリーのギターが泣きまくる"Sounds That Can't Be Made"、
本作におけるもう一つのドラマとなる14分の"Montréal"、
前作までの流れを汲んだメロディが美しい"Pour My Love"や"Lucky Man"、
穏やかな盛り上がりが感動を呼ぶラストの"The Sky Above the Rain"等、
捨て曲一切無しの傑作。



あとこのアルバムを聴いて改めて感じたのが、
マーク・ケリー(Key)の音使いの巧者っぷり。

一体どうやったらこんな多種多様の音色思いつくんだ…と思わせると同時に、
この場所にはこの音しか無い!ってのをさりげなく入れてくるのがたまりませぬ。

サウンドメイキングがここまで巧い鍵盤奏者はなかなかいないのでは。
ぜひバックの音にも注目してみてください。



ということで本作、昨年聴いたアルバムの中ではダントツで感動した。
歴代MARILLIONアルバムの中でも『BRAVE』に次ぐ名作だと思います。



どういう経緯か知らないけど14年ぶりに日本盤が発売されたってこともあるので、
来日を祈願するとともにいろんな人に聴いてみてもらいたい。


そんな風に「誰かにこの良さを伝えたい!」と思わせてくれるような作品だってのが
一番のポイントですかね。



最後にこのアルバムを聴く時の環境として、
『BRAVE』のブックレットに書かれているフレーズを引用して締めとします。



Play it Loud with the lights off.


前衛とは何か | Home | Top 25 Albums of 2012

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