幻影の寓話

Passion (CD+DVD)Passion
PENDRAGON

曲名リスト
1. Passion
2. Empathy
3. Feeding Frenzy
4. This Green and Pleasant Land
5. It's Just a Matter of Not Getting Caught
6. Skara Brae
7. Your Black Heart

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二つ前の記事
「MARILLIONは25年前の時点ですでにポンプ・ロックではない」
的なことを書いた。


一方、MARILLIONとほぼ同時期にデビューし、いまだに一貫して
ポンプ・ロック、シンフォニック・プログレを奏で続けているバンドがいる。


それがPENDRAGONだ。



1985年のデビュー以降現在に至るまで、
PENDRAGONの音楽は基本的に変わらない。


美旋律メロディにきらびやかなキーボードと泣きのギター。



『THE WORLD』 『THE WINDOW OF LIFE』
『THE MASQUERADE OVERTURE』 『NOT OF THIS WORLD』の
超ファンタジックなアルバムジャケットも相まって、
まさに「THE・シンフォプログレ」な王道ど真ん中である。



メンバーに関しても、ドラマーが何度か交代してはいるものの、
ニック・バレット(Vo・G)、クライヴ・ノーラン(Key)、
ピーター・ジー(B)は不動のラインナップ。



ニック・バレットのVoは、はっきり言ってヘタだ。
音域は決して広くないし、どちらかっつーと線は細く、
特段深みがあるわけでもない。


さらに鞭打つならこのバンド、ルックスが絶望的にダサい。
アーティスト写真だけ見るとフツーの冴えないおっさんである。



なんとなくそのあたりが"キャリアの割にいまだB級感が拭えない"
理由だったりするんじゃないかと個人的には思うんだが、
だがしかし、それを補って余りあるほど生み出す音楽は素晴らしく、
ニックのギター含め演奏陣のクオリティも抜群なのだ。



『PASSION』は2011年に発表された現時点での最新作。


穏やかで柔らかく、包み込むような美麗メロディ…
という基本路線はそのままに、2005年の『BELIEVE』以降少しずつ
ヘヴィな要素を取り入れているPENDRAGON。

本作でもハード/ヘヴィ要素をフィーチャーしており、
1曲目イントロの時点でそれを感じることができる。



PENDRAGONがすごいのは、ハードネス/ヘヴィネスと
美麗メロディとの共存のさせ方がとにかく上手いという点だ。


ど頭の"Passion"ですでに顕著に現れているが、
ダークな緊張感によりメロディをスポイルしてしまうこと無く、
逆にその緊張感をコントラストとして利用し
曲のメリハリとして活かしているところが実に素晴らしい。


結果的にこのアルバムは、
PENDRAGON史上最もドラマティックな作品になっていると思う。



特に4曲目、"This Green and Pleasant Land"は
本作の頂点にしてハイライト。

13分以上ある大作だが、終始泣き続けるギターや
ニックの歌メロ等、感動を禁じ得ない名曲。


爆発的に売れることは無くても継続して良作を生み出し続けてきた、
ベテランならでは円熟味と曲作りの巧さが感じられる。



PENDRAGONのほぼすべての曲の作詞作曲は
ニック・バレットによるもの。

この人は名ソングライターとして
今こそちゃんと評価されるべきおっさんだ。




あまりにベタベタなシンフォニック・プログレゆえ
なんとなく敬遠されがちなバンドだが、
聴かず嫌いのままにしておくのはもったいないのでぜひご一聴を。


そして「こういうのはクドすぎてあまり好きじゃない」って人も、
本作の絶妙な洗練具合・ヘヴィネスの混ぜ具合は
見直すに値する出来だと思うので、もう一度チャレンジしていただきたい。


上記の"This Green and Pleasant Land"や、
『BELIEVE』収録の"The Wishing Well - b. Sou' by Sou'west"、

『NOT OF THIS WORLD』に収録されている
"Dance of the Seven Veils Part 2: All Over Now"あたりは
珠玉のメロディが胸を打つ、実に感動的な名曲でございます。



シンフォニック・プログレとは?という問いに対する最も明快な回答。

それが「PENDRAGON」である。


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