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英国曇天ジャズロック

The Polite ForceThe Polite Force
EGG

曲名リスト
1. A Visit to Newport Hospital
2. Contrasong
3. Boilk
4. Long Piece No. 3

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デイヴ・スチュワート。


と言ってもEURYTHMICSの人ではなく
90年代後期CAMELのドラマーでもない。

HATFIELD AND THE NORTHやNATIONAL HEALTH、BRUFORDで
キーボードを弾いていた方のデイヴ・スチュワートである。


そのデイヴ・スチュワートがHATFIELD以前に在籍していた
ジャズロックバンドがこのEGG。

EGGの母体はURIELというバンドで、スティーヴ・ヒレッジが脱退し
キーボード+ベース+ドラムのトリオになったところでEGGに改名した。


バンド名を冠したデビュー作を1970年に発表後、
管楽器隊をゲストに据え翌年に発売した2ndが『THE POLITE FORCE』である。

このアルバムはSOFT MACHINEやカンタベリー周辺の
英国プログレを探求する上でぜひとも聴いていただきたい名作だ。


ただしカンタベリー系譜に位置するとはいえ、
穏やかさやのほほんとした雰囲気は皆無。

ここにあるのは重く、陰鬱で屈折した、
まさに英国の曇天のような冷たく暗いジャズロックである。


1曲目"A Visit to New Hospital"の導入部からして重い。

ドゥームメタルかと言わんばかりの沈み込むキーボードリフ。

その後ジャジーかつメロディアスな展開を見せるも、徹底してクール。
モント・キャンベルのVoもダンディズムに溢れる。
曲終盤では再び冒頭のドゥームリフ。


激渋な曲調ながらも、デイヴ・スチュワートのおそろしく歪んだ
オルガンの音色はファズギターかと勘違いしてしまうほどのヘヴィネスであり、
そのせいか初期ハードロック的なカタルシス、カッコよさがある。


続く"Contrasong"は一転して超難解な変拍子リズム。
その上をVoと管楽器隊が怪しげなメロディを奏でる。

胡散臭さ満載だが、決しておふざけモードにはならず
徹底して醒めた感じがたまらない。


3曲目の9分半に及ぶ"Boilk"はさらに難解だ。

謎のSEやベルの音で始まり、テープ逆回転音と金属音がひたすら続く。
完全にノイズミュージックの世界である。

そして終盤にはバッハの「アダムの罪により、すべては失われぬ」が
オルガンで奏でられる。実験的かつ前衛極まりない。


アルバム最後を飾るのは、20分以上の組曲"Long Piece No. 3"。

凄まじい変拍子の猛襲で幕を開けるPart1、
お洒落なハモンドメロディーから唐突なノイズの嵐を挟み
再びジャジーに展開するPart2、
勇壮かつ緊張感溢れるリフ・メロディーのアンサンブルを聴かせるPart3、
そして変拍子でエキサイトメントたっぷりに疾走するラストのPart4。

EGGの音楽的要素が凝縮された素晴らしい組曲である。



とんでもなく技巧的な変拍子展開、さらに前衛ノイズをフィーチャーしつつも
一貫して冷静で醒めているところがこのアルバムは最高にカッコいい。

前述のSOFT MACHINEと比較されることも多いが、
こちらの方が(ヘヴィな音像もあいまり)曲のメリハリがあるように感じる。

70'sヘヴィロックとジャズロックの中間点にいるバンドではないだろうか。



なおEGGはこの後1974年に
最終作となる3rd『The Civil Surface』を発表している。

こちらはさらに輪をかけて前衛・難解な作風となっており正直かなり地味だが、
盟友スティーヴ・ヒレッジやSPIROGYRAのバーバラ・ガスキン、
HENRY COW他のリンゼイ・クーパーといったメンツが参加している。
『The Polite Force』を気に入った方は一聴の価値あり。



「"英国"プログレってどんな音なの?」との問いに対する回答は非常に難しいが、
このアルバムの雰囲気・音像はまさに"英国"としか言いようがなく、
その意味でも非常に重要な作品だと思う。





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