The Dawn Has Come...

AerialAerial
Kate Bush

Album Tracks
Disc 1: A Sea of Honey

1. King of the Mountain
2. Pi
3. Bertie
4. Mrs. Bartolozzi
5. How to Be Invisible
6. Joanni
7. A Coral Room

Disc 2: A Sky of Honey

1. Prelude
2. Prologue
3. An Architect's Dream
4. The Painter's Link
5. Sunset
6. Aerial Tal
7. Somewhere in Between
8. Nocturn
9. Aerial

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ケイト・ブッシュはおそらく「ポップス」という枠で
くくられてるアーティストなんでしょうが、

おれにはそれがいまいちピンとこない。


だって、全然わかりやすくないもんこの人。



ロックではないし、確かに比較的耳障りのいい音楽ではあるけど
「キャッチー」というのとはまた違うと思うんですね。

まぁそのあたりは「ポップス」という言葉に対する
日本人と欧米人の認識の違いなのかもしれないですが。




「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマに使われてることもあり
日本でも有名な“Wuthering Heights”(邦題「嵐が丘」)。

その曲を先行シングルとしてデビューしたケイトは
デイヴ・ギルモアに見出されたという前評判もあり
いきなり全英1位と売れに売れまくる。


1stアルバム『THE KICK INSIDE』も大ヒット、
一躍“希代の天才少女”として名を馳せます。



その1stですが、「ポップ」という意味では
全作品中一番と言える内容で、

さらにそういったとっつきやすさだけでなく
独特すぎる声と世界観をも同居させており
いきなり個性全開、そりゃ注目されるだろうという感じ。


その後の2枚に渡って
1stの「コケティッシュな歌声を活かしたポップソング路線」を
踏襲するわけですが、


しかし次の4th 『THE DREAMING』でいきなり激変。


ケイト・ブッシュはデビュー当時から

「音楽的アイデアはすべて自分のもの。それを敏腕ミュージシャン/
 プロデューサーのサウンドを使って具現化する」

というスタイルの人なんですけど


ここにきて突如その方法論を限界まで突き詰め
実験的なことをやりたい放題やり始める。


しかも完璧主義者だけにやりこみ度がハンパではなく、
それまでのラヴ・ソング的要素を完全排除、

狂ってるとしか思えないヴォーカル・パフォーマンスと
そこまでやるかと言いたくなるほどの作り込み具合でもって
すさまじくイカレたアルバムを完成させてしまうのでした。


で、その『THE DREAMING』は間違いなく大傑作。


内容の濃さ、ヴォーカルの表現力ともに圧倒的であり、
ケイトの特異性を知りたい人はこれを聴けばよいでしょう。



5th 『HOUNDS OF LOVE』ではさすがに前衛的な部分は薄れ、
初期の集大成的内容に。大ヒット。

その後6th、7thを出したところで
1993年に子育てのため活動休止。



んで、長い沈黙をはさみ約12年ぶりのニューアルバムとして
2005年秋に発売されたのが、『AERIAL』というわけです。

前置きが長くなってしまった。




久々ということでたいそう話題になっていたアルバムですが、
これは本当に素晴らしい!


率直に言って、ケイトの全作品の中で
個人的には一番気に入っている。



まず、とても12年振りとは思えないほどの完成度の高さ。
2枚組という大作ですがまったくダレずに聴けます。


そして音楽的方向性。これが昔とは似て非なるもの。


初期のような、シングルにして売れそうなメロディは
ほとんど無いです。
(一応“King of the Mountain”が先行シングルではあるけど)

『THE DREAMING』のようなエキセントリックさも皆無。


頭から終わりまで、ゆったりとした壮大かつ幽玄な音楽の中で
静かに歌い上げてゆくケイト。

サウンドもピアノやストリングスが中心。

めちゃくちゃビューティフル。



ヴォーカルに昔の溌剌とした感じがないので
(衰えてるという意味ではない)
もしかしたら人によっては物足りないかもしれない。

しかも非常に幻想的なので、
ヒーリング・ミュージックと捉えられてもおかしくない音ではある。


でもそういうのとはスケールの質が違うと思うんです。



たとえばエンヤあたりは
ケイトからかなり影響を受けているんだろうけど、

ああいった“おとぎの国からこんにちわ”的な音ではなく
『AERIAL』を聴いて感じるのは
もっと現実に根ざした上でのスピリチュアルな感覚。


アルバムのアートワークがそのまま音楽になったような感じです。


それがたまらなく心地良い。


特に2枚目、<A Sky of Honey>の美しさは筆舌に尽くしがたし。



たとえば後期PINK FLOYDとか最近のMARILLIONを聴いてて
感じる美しさ。音楽が優しく、穏やかに流れていく感じ。

そういう雰囲気です、『AERIAL』は。主観だけど。


夜中から明け方にかけて聴くと最高に癒されますね。




活動休止前の作品『THE RED SHOES』が
エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、プリンス等といった
超豪華メンツをゲストに迎えていた割に

正直つまらないアルバムだったので、
(ついでに言うとその前の『THE SENSUAL WORLD』もいまいち)

あまり期待してなかった分感動もひとしおというやつです。



いきなり『AERIAL』からケイト・ブッシュに入るのもアリだと思う。

あとは1st 『THE KICK INSIDE』、4th 『THE DREAMING』は
聴いといて損はないでしょう。



やっぱりこの人の存在場所はポップスなんていう
狭いフィールドじゃないな。

「超越」という言葉が違和感なくあてはまる人だと思います。


なんでもかんでもプログレでくくってしまうのも
ちょっとどうかと思うけど、

こういう音楽こそ「プログレッシヴ・ミュージック」と呼びたい。

ジョン・テンペスタ礼賛 | Home | Scream for Me, ブドーカーン!

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2008/01/07 (Mon) 06:15 | ポップスのレス